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精神科看護者は、本協会の精神科看護の定義を理念とし、法と人道の精神を踏まえ、看護者の責務を遂行する。次のとおり倫理指針を提示する。
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精神科看護者は、対象となる人々の基本的人権を尊重し、個人の尊厳と権利を擁護する。 |
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精神科看護者は、対象となる人々が説明と同意に基づき治療へ参画できるよう努める。 |
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精神科看護者は、治療過程において隔離等の行動制限が必要な場合に、それを最小限にとどめるよう努める。 |
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精神科看護者は、職務上知り得た秘密を守り、プライバシーを保護する。 |
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精神科看護者は、専門職業人として質の高い看護を提供するため継続して学習に努める。 |
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精神科看護者は、より有効な看護実践を探求するため研究に努める。 |
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精神科看護者は、家族や他の専門職との連携を図り、対象となる人々がその人らしく生活できるよう努める。 |
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精神科看護者は、専門的知識と技術をもって、社会の信頼と期待に応えられるよう努める。 |
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精神科看護者は、地域社会の人々にノーマライゼーションの観点から、精神保健福祉の普及に努める。 |
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精神科看護者は、看護専門職能人として地位の向上と看護水準を高めるため政策提言をおこなう。 |
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<政策・業務委員会の解説>
精神科看護倫理綱領の解説
1 精神科看護者は、対象となる人々の基本的人権を尊重し、個人の尊厳と権利を擁護する。
基本的人権は日本国民が等しく持つ権利であり、いかなる場面においても尊重されなければならない。精神疾患及び精神障害者に対する国民の理解は十分とはいえず、多くの差別や偏見が存在している。精神科看護者は、精神障害者を含む対象となる人の傍らにいて、その人らしい生活の実現のため支援しなければならない。また、いわれのない差別や偏見のためにその人らしい生活が疎外されないように権利擁護者としての役割を果たさなければならない。
2 精神科看護者は、対象となる人々が説明と同意に基づき治療へ参画できるよう努める。
私たちは、自分自身の疾患についてその治療法及び予後について知る権利を持っている。また治療法を選ぶ権利も持っている。いかなる疾患でもその権利は侵害されてはならない。わが国においては、多くの精神障害者が、社会資源の不足や制度上の不備により、長期入院を余儀なくされている歴史を持っている。精神科看護者は、長期入院患者を、新たに作り出さないためにもインフォームドコンセントの原則をもって、対象となる人々が、自らの治療に参画し、適切な医療を受けることができるよう努めなければならない。
3 精神科看護者は、治療過程において隔離等の行動制限が必要な場合に、それを最小限にとどめるよう努める。
入院治療においては、隔離・拘束や、面会、電話、外出・外泊、持ち物の制限など治療上判断される個別的な制限や、病棟出入り口の施錠、生活時間の限定など安全管理上判断される全体的な制限のように、さまざまなかたちで行動制限が行われる。
精神科看護者は、行動制限が対象となる人の基本的人権を脅かすものであり、大きな苦痛や不安、さらには身体機能の低下、自己決定能力や問題対処能力の低下という弊害をもたらすものであるという認識をもたなければならない。そして、過剰な行動制限がなされないように、日々、行動制限が適切かどうか、行動制限を最小とするために必要なことは何かを見極めつつ、対象となる人自身が行動を自己管理できるように支援していく必要がある。
4 精神科看護者は、職務上知り得た秘密を守り、プライバシーを保護する。
精神科看護者は、適切な支援を提供するために、対象となる人が現在おかれている精神・身体・社会面についての状況だけではなく、生きてきた軌跡を辿ったり、その人を取りまく人々の心に触れたり、さらには今後の生活設計を知るというかたちで、幅広い情報を得ることが多い。
個人情報を得る際には、その利用目的を説明しつつ、可能な限り対象となる人の自己決定のもとで提供してもらう必要がある。対象となる人の情報提供を拒否する権利を尊重し、不適切な情報収集とならないように留意する。職務上知り得た情報については、その取り扱いに細心の注意をはらい、守秘義務を遵守しなければならない。さらに、個人情報の漏出を防止するための対策を講じ、情報が安全に管理される体制整備に尽力する。
5 精神科看護者は、専門職業人として質の高い看護を提供するため継続して学習に努める。
精神科看護者には、引きこもり、幼児虐待や思春期に特有な病気、失業や自己破産に伴う自殺者の増加、高齢化に伴う痴呆症など、疾病構造の変化、国民の意識の変化、医療技術の進歩ならびに社会的価値の変化にともない多様化する人々の健康上のニーズに対応していくために、高い教養とともに高度な専門的能力が要求される。このような要求に応えるべく、専門職業人として計画的にたゆみなく日々研鑚に励み、能力の維持・開発に努めることは、精神科看護者自らの責務である。
精神科看護者は、自施設での現任教育のプログラムの他に、日本精神科看護技術協会及びその支部が主催する各種研修、学会・研究会などの継続学習の機会を積極的に活用し、専門職業人としての自己研鑚に努める
6 精神科看護者は、より有効な看護実践を探求するため研究に努める。
精神科看護者は、常に、より質の高い看護が提供できるよう、研究などにより得られた最新の知見を活用して看護を実践するとともに、新たな専門的知識・技術の開発に最善を尽くさなければならない。専門的知識・技術は蓄積され、さらなる看護の発展に貢献する。精神科看護者は、実践や研究に基づき、看護の中核となる専門的知識・技術の創造と開発を行い看護学の発展に寄与する責任を担っている。
精神科看護者はあらゆる研究の対象となる人々の不利益を受けない権利、情報を得る権利、自分で判断する権利、プライバシー・匿名性・機密性を守る権利を保障しなければならない。
7 精神科看護者は、家族や他の専門職との連携を図り、対象となる人々がその人らしく生活できるよう努める。
精神科看護者は、対象となる人々の自己決定を尊重し、そのための情報提供と決定の機会を保障していくと共に、常に個別的なアプローチと温かい配慮をもって接するように努める。対象となる人々がその人らしい生活を継続できるように、自律性の回復と維持、増進という目的のもとに、その人を取りまく他の精神保健福祉関係者と連携を図る。そして、それぞれの能力を最大限に発揮し、その人が社会において安定した生活を送ることができるように支援する。
8 精神科看護者は、専門的知識と技術をもって、社会の信頼と期待に応えられるよう努める。
精神的健康が社会的に注目され、精神科看護の専門性が今まで以上に問われる時代になってきている。精神科看護者は、社会の信頼と期待に応えられるように、専門職としての誇りを持って、自己の職業の社会的使命と責任を自覚しなくてはならない。
研究、実績により得られた最新の知見を有効に活用しながら、より質の高い看護を提供していく必要がある。また、高度な知識や技術による看護行為は、信頼関係のもとで初めて効果的な看護援助となりうるので、信頼関係を築き、発展させるように日々尽力し、社会の信頼、期待に応えていくように努める。
9 精神科看護者は、地域社会の人々にノーマライゼーションの観点から、精神保健福祉の普及に努める。
社会復帰施設建設などへの反対運動にもみられるように精神障害者に対する誤解や無理解が地域社会には根強く残っている。障害者が地域社会でその人らしく生活するには、社会の人々の理解と協力が必要である。精神科看護者は、対象となる人々が地域社会の一員として、その尊厳が守られ安心して生活が送れるような地域社会づくりに力を尽くさなければならない。また、メンタルヘルスについての正しい知識の普及啓発、自助グループの育成など地域社会の精神保健問題に関与することが期待されている。
10 精神科看護者は、看護専門職能人として地位の向上と看護水準を高めるため政策提言をおこなう。
精神科看護者は、対象となる人々のニーズの実現や専門職業人として最大限の力を発揮する為に地方自治体や国の政策上の条件整備に関与しなければならない。それらを実現するために臨床や地域において絶えず政策の評価を行い、必要に応じ要望事項を取りまとめ日本精神科看護技術協会などと連携して政策提言をおこなうことが求められている。
2004.5.26
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